在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

「イスラムVSアルコール」VS「キリスト教VS同性婚」~聖なる信仰VS世俗の仕事。

同性愛者、同性婚希望者、およびその支持者は、このニュースを、アルコール提供の仕事を拒否した女性イスラム教徒を、どう考えるか?

 

CNN.co.jp : イスラム教徒の客室乗務員、アルコール提供拒否で休職に

(CNN) 米エクスプレスジェット航空の客室乗務員が、信仰するイスラム教の教えに基づいてアルコール提供の業務を拒否したことにより、休職扱いになったとして当局に不服を申し立てている。
客室乗務員のチャリー・スタンレーさん(40)は1日、職場への復帰を求めて雇用機会均等委員会(EEOC)に申し立てを行った。
担当弁護士によると、スタンレーさんは3年近く前に同航空で働き始め、約2年前にイスラム教に改宗。今年に入って、イスラム教では自分が酒を口にすることだけでなく、他人に供することも禁じられていることを知った。
今年6月1日に上司に相談したところ、乗客から酒類の注文があった時は別の乗務員に応じてもらうよう指示された。スタンレーさんは指示に従い、問題なく乗務を続けていたという。
ところが8月2日、ある乗務員から、酒を出さないスタンレーさんは職務を十分に果たしていないとのクレームがあがった。この乗務員はさらに、スタンレーさんが「外国語で書かれた本」を携帯し、頭にスカーフを着けていると苦情を訴えた。
スタンレーさんは8月25日、同航空から宗教的配慮を停止するとの通知を受け、無給の休職扱いとなった。1年後に解雇される可能性も示唆されたという。
弁護士は「いかなる人も職業か宗教かという選択を迫られることがあってはならない。従業員が各自の宗教を実践しつつ安心して働ける環境を整備することは、雇用主の責任だ」と主張。スタンレーさんの職場復帰と宗教的配慮の回復を要求している。
エクスプレスジェット航空はスタンレーさんの件に関し、「わが社の従業員であり個人的問題についてはコメントできない」と述べるにとどまっている。

 

上記の、アメリカの航空会社に勤めるイスラム教徒は、 

下記の、ケンタッキー州ローワン郡の書記官を勤めていたキリスト教徒と、

まったく同じではないか。

 

同性婚拒否の米地方役人を収監、法廷侮辱罪で 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

 全米で同性婚を合法化した6月の連邦最高裁判所の判決に従うことを拒否していたキム・デービス(Kim Davis)書記官は法廷で、同性カップルに結婚許可証を発行することはキリスト教徒としての信条に反すると訴え、「私の良心が許さない」と語ったと、米テレビABCニュース(ABC News)は伝えている。 

 

コーランは飲酒を認めない。

なのに、世俗の仕事で、お客への酒類の提供を命ぜられている。

アッラーと会社ならば、アッラーが優先される。

よって、お客への酒類の提供を拒否した。

すると、会社が業務命令違反で休職を命じた。

 

聖書は同性愛を認めない。

なのに、世俗の仕事で、同性婚者への結婚許可証の発行を命ぜられている

神と連邦最高裁判所ならば、神が優先される。

よって、同性婚者への結婚許可証の発行を拒否した。

すると、裁判所が法廷侮辱罪として身柄を拘束・収監した。

 

2人のアメリカ人女性は、状況も、立場も、同じではないか。

 

キリスト教」と「同性愛」が同等の権利ならば、

キリスト教」と「イスラム」と「同性愛」と「飲酒」の全てが同等の権利でなければならない。

 

しかし、イヤミでなく、疑問なんだが、この女性乗務員は、イスラムの神聖なる義務・1日5回の礼拝は、どうやって時間を取っているのだろうか? 飛行機の乗務員の仕事は不規則だろうし、フライト中に礼拝時間になったらどうしてるのか? イスラム諸国の飛行会社ならちゃんと時間を配慮してくれるだろうが、アメリカの会社にはそれはないだろう。

礼拝は時間通りでなくても、寛大なるアッラーの慈悲で許してもらってるのか? だったら、アルコールだって、自分が飲むわけじゃなく、異教徒が飲むんだから、アッラーの慈悲の範囲内にはならないのか? 

というか、彼女は、イスラム的にアルコールのサービスもダメだと、どうやって判断したのか? 自己判断だったら、イスラム的に間違ってるだろう。イスラム教義への疑問は、自分で解決してはいけないはずだ、ちゃんと法学者に質問すべきである。

で、法学者なら「アッラーは許してくださる」と言うか「会社を辞めなさい」と言うか、どっちかのような気がする。 

 

まあ本件は、そもそも告発した同僚にも、かなり問題がある。

 

ある乗務員から、酒を出さないスタンレーさんは職務を十分に果たしていないとのクレームがあがった。この乗務員はさらに、スタンレーさんが「外国語で書かれた本」を携帯し、頭にスカーフを着けていると苦情を訴えた。

 

「酒を出さない」つまり自分と同じ立場なのに自分と同じ仕事をしない彼女に対して、不満を持ち、会社に訴えるのは、まあ当然かもしれない。

しかし、

彼女が「外国語で書かれた本」(←コーランか?)を携帯するのは、彼女の自由だし、「頭にスカーフを着けている」のは、会社の規則でスカーフが許されているのならば、それも彼女の自由である。

 

なんといっても、「外国語で書かれた本」っていう言い回しがキモである(笑)。いかにもアメリカらしい。

もし「外国語で書かれた本」がダメならば、乗務員が仮に日系アメリカ人で日本語新聞を持っていても、ロシア系アメリカ人で故郷からのキリル文字で書かれた手紙を持っていても、はたして告発しただろうか? おそらくしなかっただろう。

 

おそらく「外国語で書かれた本」がくねくねしたアラビア文字っぽくて、明らかにイスラム関連だと判っていて、それが不愉快でムカついてチクッたのだ。この同僚は、たぶんキリスト教徒で、ありがちなアンチ・イスラムなんだろう。

 

ぶっちゃけ、キリスト教徒の同僚による、イスラム差別、社内イジメの側面がある。

 

しかしだ。

 

弁護士は「いかなる人も職業か宗教かという選択を迫られることがあってはならない。従業員が各自の宗教を実践しつつ安心して働ける環境を整備することは、雇用主の責任だ」と主張。スタンレーさんの職場復帰と宗教的配慮の回復を要求している。 

 

もし、この弁護士の主張が正しいのならば、ケンタッキーの同性婚嫌いの女性書記官をムショへぶち込むのも間違いだ。

ぶち込まれるべきは、書記官を、結婚許可証の担当から別の仕事へ配置変換しなかった郡事務所の上司と州政府ということになる。

 

神(聖書)は、たかが女のキム・デービスさんが、男性同性愛者に反論する権利を認めない。 #kimdavis - 在日琉球人の王政復古日記

 

もし、「アルコールと同性婚を一緒にするな!」「酔っ払いの嗜好品と違って、同性婚は人間の神聖な権利なのだ!」、、、なんて言い出せば、それこそ聖書に狂ったキリスト教原理主義者を全く同じレベルの、「同性愛」教・原理主義者の誕生である。

 

同性愛の権利を認め、同性婚の権利を認めるのならば、酔っ払いの聖なる権利も擁護しなければならない。