「靖国映画」。
あ、ちょっと前に、支那人が作った「YASUKUNI」じゃないよ(笑)。
私が勝手に作ったジャンルである。
日本映画にはそういう、娯楽映画の皮をかぶった「政治映画」があるのだ。これもその一つである。
角川映画第1弾として作られ、興行も大ヒットしたし、監督市川崑の演出も冴え渡り、娯楽映画として傑作の部類だろう。
この映画は有名なんで観た人も多いだろうが、
東宝「犬神家の一族」(1976年)。これも実は「靖国映画」なのだ。
え?靖国神社なんて登場したか? 出てきた神社は野々宮家の那須神社では?
画面には出てこなくとも、この映画で「靖国」は決定的な役割を果たしているのである。
ネタバレ御免。
結局、遺産相続を巡る犬神家連続殺人事件の引き金は、犬神佐清の復員の遅延、帰省の遅延にある。
彼さえ普通に素直に帰郷していれば、復員が遅くならなければ、ゴム仮面の男・青沼静馬が犬神家に入り込むチャンスはなく、そして息子が徴兵前の美男子のままならば、犬神松子も一連の計画を実行する必要はなかった。
それは、東南アジア戦線で自分のミスにより所属部隊が全滅したのに、自分だけが生き残った自責の念があったからだ。自分一人おめおめ日本へ帰るわけにはいかないのだ。
要は佐清には「恥ずかしくて、上官や戦友に、つまり靖国の英霊に、会わせる顔がない」ということだ。
徴兵前は何の苦労もなかっただろう地方財閥のボンボン坊ちゃんに、そこまでの責任感・義務感を植えつけたのが、徴兵であり、同じ釜の飯を食った戦友への思いであり、過酷な戦場での日々だった。これが「靖国」というモノの本質である。
戦場の犬神佐清には、故郷の犬神家も遺産相続もなく、ただただ日本と部隊と戦友しかなかった。
それなのに、失敗しながら一人生き残ってしまった佐清は「戦友=英霊=神」に会わせる軍人=公人としての「顔」を失った。胸を張って故郷の那須へも帰りたくとも帰れない。
対して、青沼静馬は戦場で顔に大怪我を負う。
しかし犬神家を叩き出された負け犬の素顔を失ったことで、逆に、怨み重なる犬神家の相続人へすり替わり可能な、どこの誰ともわからない、誰にでも化けられる「顔」を手に入れたのである。
静馬には戦争も日本も靖国も関係ない。
戦場においても、日本の勝利も戦友の命もどうでもいい。常に胸を占めるのは犬神家への復讐、そしてそのための個人の生き残り、それだけである。つまり「公人」の立場などなく「私人」な立場があるだけだ。
かたくなに靖国を背負ってしまった、ナショナリスト犬神佐清は「靖国派」であり、
靖国なんか思いつきもしない、思いついても「戦友?日本?それがどうした?」と一笑に付すであろう。個人主義者・青沼静馬は「非靖国派」である。
犬神家の殺人事件は、靖国を巡る2つの思想
の対立の余波でもあるのだ。
1976年「犬神家の一族」の犬神佐清(青沼静馬)役と言えば、あおい輝彦。
実は、彼は、同じ1976年に、「犬神家の一族」と観客動員数を二分した、同じ東宝映画の、またまた同じ、準主人公でもある。
白いゴムマスクの正体は、創価学会池田大作先生だったのだ(笑)!!!
こっちも、冗談でも何でもなく、必見の映画。
★広宣流布(笑)★日本映画専門チャンネル~2018/10/27「人間革命」~2018/11/24「続・人間革命」 #公明党 #創価学会 - 在日琉球人の王政復古日記
1977年松竹「江戸川乱歩の陰獣」も、大好きな映画だが、話が外れるので、またの機会に。
さて、靖国映画「東宝編」、ということは、ライバル東映編も、他の会社版もある。それもまた後日の機会に。
※追記
横溝ミステリは日本的要素が濃厚であるが、海外でも翻訳出版されてるそうな。
韓国でも「犬神家の一族」が出版されたと聞いたことがある。
しかし「犬神家の一族」は、話の流れで、実のイトコ同士の結婚が成立しまう部分がある。明々白々の近親婚である。
「同姓不婚」の倫理がある韓国人はこの辺をどう感じるのだろうか?
犬神佐兵衛翁は、自分の愛する孫娘を「畜生道」に落とそうとしているのである。
ご存知の方がいれば、ご教授いただきたいものである。
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