在日琉球人の王政復古日記

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電通鬱病過労死自殺~人間は、たった2か月で鬱病になる。たった3か月で自殺する。

電通・東大卒女性社員が過労死「1日2時間しか寝れない」クリスマスに投身自殺 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

2016年10月7日

 広告大手の電通に勤めていた高橋まつりさん=当時(24)=が昨年12月に自殺したのは、直前に残業時間が大幅に増えたのが原因だとして、三田労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが7日、分かった。遺族代理人川人博弁護士が明らかにした。認定は9月30日付。
 川人氏によると高橋さんは東大卒業後の昨年4月、電通に入社し、インターネット広告などを担当した。本採用となった10月以降、業務が増加し、11月上旬にはうつ病を発症したとみられる。12月25日、東京都内の社宅から投身自殺した。発症前1カ月の残業時間は月約105時間に達し、2カ月前の約40時間から倍増していた。
 母親の高橋幸美さん(53)=静岡県=は記者会見し「過労死が繰り返されないよう、企業の労務管理の改善と、国が企業に指導を行うよう強く希望する」と話した。

 

「時間」に問題がない、とは言わないが、一番の問題は「時間」ではない。

 

上の記事を冷静に読めば、彼女が過酷な労働に追い込まれたのは、時間だけで計測するなら、10月から12月までの「3か月間」なのだ。

何年も何年も無茶苦茶をやり続けた果ての破たん、ではない。

 

もちろん(予断と偏見を持って)奴隷商人である電通側の記録なんて信用できるわけはなく、本当の労働時間は月に105時間なんかを平気で超えていたと想像するが、それでも期間は「3か月間」なのだ。

そして、彼女は、激務開始から2か月目には、早くも鬱病を発症していたようだ。

 

「自殺するくらいなら、仕事をやめればよかったのに」

鬱病になるくらいなら、仕事をやめればよかっただろ」

とかいう人は、ご自身が鬱病になったことがないから簡単に言えるだけ。

 

鬱病は精神の病気であり、その瞬間から、視野狭窄を起こして、合理的な判断はできない。

鬱病になったら「無理なら逃げる」という選択肢を思いつかなくなる。思いつかないことは実行できないのだ。

もちろん、鬱病になる前なら、逃げる選択肢も思いつくが、なる前には一応まだ耐えられてるので、頑張れると勘違いして、逃げないのである。

 

世間には、トラックやバスの運転手、訪問営業、外食産業、看護師、ソフトウェア関連などなど、過酷な労働条件の皆さんが、この瞬間も、ヘロヘロになりながら働いているだろう。

その彼ら・彼女らの労働日数は「3か月」なんてもんじゃない。多くは「年単位」であろう。

中には、すでに何年も、残業月何十時間を続けて、鬱病一歩手前ながら本格発症スレスレで、何とか生き延びてる人だっているだろう。

 

鬱病になって自殺まで追い込まれた電通の彼女と、

過酷な労働を何年も続けて何とか生き残ってる皆さんの違いは、

何が違うのか?

まず、心身のタフネスには個人差がある。しかしそれより、仕事内容と従事者が合うか合わないか・好きか嫌いか、上司や職場環境が良いか悪いか、労働内容・労働環境が一番デカいと思う。

それくらい彼女にとって電通の仕事と環境が酷かった。そして、彼女と仕事と職場の相性が最悪だった、と推察できる。

 

人間には個性があり、「好き嫌い」「合う合わない」が確実にある。

そして「好き嫌い」と「会う合わない」は微妙に異なる。

嫌いなのに相性が良くて続けられる仕事、好きなのになぜか相性が悪くてダメになる仕事、どちらもある。人間は複雑な生き物である。

 

睡眠不足になりながら深夜の高速でトラックを飛ばすドライバーが、何とかやってこれてるのは、やはり本人が車が好きだったり、運転が性に合ってるからだろう。

同じ労働時間だからといって、ドライバーにパソコン仕事をやらせたら、1週間でパンクするかもしれない。

逆に、パソコンの前で何日も徹夜できる人見知りのプログラマーに、訪問販売やらせたら1日で泣き出すかもしれない。

 

そもそも、この過労自殺を取り上げてる、労働基準法を守れ、残業を無くせ、と書いたり言ったりしてる新聞社やテレビ局こそが長時間労働のカタマリである。

じゃあ、なぜ記者やテレビマンが鬱病にならずに生きてられるのか?と言えば、それは、マスコミの仕事が好きだから、性に合ってるからだ。

 

睡眠時間を削って月も何百時間もやり続けるゲーマーだっている。そっちは「依存症」をという別の病気かもしれないが、彼らだって、ゲームが好きだから、そういう無茶苦茶が続けられる。

じゃあ、同じようにモニターを見てるだけだ、ということで、まったく興味のないテレビ番組を延々と見せられたら1日で爆睡だろう。

 

さらに極端なケース、寝るヒマがないくらいテレビに出まくっていた芸能人が、忙しい時には平気だったのに、人気を失って仕事を無くした途端、失業の不安から鬱病を発症することはある。

長時間労働と正反対に労働時間がどんどん減っても、人間は鬱病になる。 

 

そして心理状態も大きく作用する。同じ仕事内容で、同じ残業時間でも、もしも「この仕事は3か月で終了。新年からは別の事業部に配置返還」 と決まっていれば、彼女も「この地獄も3か月経てば終わる」というモチベーションで、鬱病になることなくサバイバルできたかもしれない。

「受験勉強も試験当日まで。それで解放される!」と思えば、精神も何とか持つことが多い。しかし、いつ受験があるかわからない受験勉強では、精神が持たない。

  

彼女自身その数年前まで受験生であり、そういう世界で頑張っていたのだ。

東京大学に入学できる女性なんだから、頭は良かっただろうし、受験勉強で長時間のデスクワークは大丈夫だっただろうし、合格できるかどうか一発勝負みたいな成果主義にも慣れていただろう。

そしてなんといっても電通だから、金銭面の待遇不満・将来不安は少なかったはずだ。それだけでも、安い給料なのに過酷な職場で奮闘してる非正規雇用の人々よりはマシな面はあったのだ。

 

それでも、やる内容とやり方次第では、たった2か月で鬱病になる。たった3か月で自殺する。人間とはここまでデリケートな存在なのだ。

 

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