Steppenwolf - Born To Be Wild (Easy Rider) (1969)
主義の良い悪い、好き嫌いは別にして、
右翼思想にも、誤解はあるにはあるが、右翼を自称する人で、自分の思想の内容を正反対に間違ってる人は、一部のアレ(笑)を除いて、あんまりいない。
左翼思想にも、誤解はあるにはあるが、左翼を自称する人で、自分の思想の内容を正反対に間違ってる人は、一部のアレ(笑)を除いて、あんまりいない。
さて、この俗世には、右翼でもなく、左翼でもない、国家も平等もどうでもいい、自由市場経済を至上とするリバタリアン/リバタリアニズムという思想がある。
私は英語が読めないんで、アメリカはそんなことはないと想像するしかないが、
少なくとも日本では、自称・リバタリアンには、自分の思想を大間違いに間違ってる人が、けっこういるのだ。
賛否は別にして、twitterなんかでリバタリアン思想を論じてる(つもりの)人は、もっとヒドイ。
ネトウヨでも、パヨクでも、
「安倍ちゃんはマルクス主義者」なんて言い出す人はあんまりいない。
「金正恩はネオリベ自由主義者」なんて言い出す人はあんまりいない。
しかし、日本のリバタリアンに関する話題では、このレベルで間違ってる人が山ほどいる。
たとえば、自分でリバタリアンとか言いながら、日本バンザイ!移民反対!韓国ムカつく!、こんなナショナリズムやエスニシティに縛られたリバタリアンなんか、理屈として存在できない。彼らは単なるネトウヨ、割引してネオリベに過ぎない。
たとえば、「トランプ大統領はリバタリアン」だの、「トランプ政権にはリバタリアンが結集してる」だの、そういうことを言ってる人は、全く信用しなくていい。
「安倍ちゃんはマルクス主義者」レベルの政治認識の人だ。
トランプがリバタリアンなわけがない。どころか、まったく正反対である。
人間の移動の自由を邪魔する。国境に壁を作る。移民を制限する。
人間の商売の自由を邪魔する。国内に工場を作れと企業を脅す。輸入品に懲罰的関税をかける。
「ただの外国に過ぎない」イスラエルへの過剰な関与。
すべてがすべて、自由な市場を求めるリバタリアンが嫌ってる、ナショナリズム、大きな政府、キリスト教福音派的な政策である。
トランプが、(リバタリアンの求める)企業家の自由な商売の邪魔をする。
鉄鋼・アルミ高関税、EUなどにも適用へ トランプ政権:朝日新聞デジタル
2018年6月1日
米トランプ政権は31日、鉄鋼・アルミ製品への高関税措置の対象から一時的に除外していた欧州連合(EU)とカナダ、メキシコに対し、6月1日から関税をかけると発表した。鉄鋼には25%、アルミに10%それぞれ関税を上乗せする。EUやメキシコはすぐに報復措置の実施を表明。米国は中国に加え、EUなど同盟国との間でも貿易摩擦が激化することが確実となった。
EUが仕返しする。
EU、米への報復関税を実施 3600億円相当の製品に - BBCニュース
2018年06月22日
欧州連合(EU)は22日、ドナルド・トランプ米大統領の貿易政策への報復措置として、米国製品に25~50%の関税を科した。
バーボン・ウイスキーやオートバイ、オレンジジュースなど計28億ユーロ(3600億円)相当の製品が対象となる。
ジャン=クロード・ユンケル欧州委員長は、米国のEUに対する関税は「全ての論理と歴史」に反していると批判した。
海外と自由に商売したいバイク屋が困る。
米ハーレー、米国外に生産移転 欧州の関税を回避 (写真=ロイター) :日本経済新聞
2018/6/25
【ニューヨーク=中山修志】米オートバイメーカー、ハーレー・ダビッドソンは25日、欧州連合(EU)が導入した二輪車の輸入車関税を避けるため、欧州向けの生産を米国外に移すと発表した。同社によると、22日に発効した関税の影響で1台あたり2200ドル(約24万円)の価格上昇につながるという。米国発の貿易摩擦が、米製造業の国外流出を招く事態になった。
同社は売上高の16%を欧州が占める。すでに米国が導入した鉄鋼とアルミニウムの輸入関税によって原材料費も高騰しており、「関税の影響が加われば販売網を維持できない」と説明している。
米国外への生産移転には9~18カ月かかる見通し。同社はこの間にかかる関税を自社負担とする方針で、2018年度に3000万~4500万ドルのコスト要因になるとみている。
商売を守ろうと悪戦苦闘するバイク屋に、関税戦争を始めた当事者が、何の救済策もとらずに、「我慢しろ」と言い放つ。
トランプ氏、ハーレーダビッドソンに「辛抱しろ!」 米国外への生産拠点移転めぐり - BBCニュース
2018年06月26日
ドナルド・トランプ米大統領は25日、欧州連合(EU)による関税を回避するため生産拠点を米国から移転すると表明した米二輪車メーカーのハーレーダビッドソンを批判した。
トランプ大統領は、ツイッターで、ハーレーダビッドソンが「最初に白旗を揚げたのには驚いた」と述べ、「彼らのため懸命に戦った」と付け加えた。
EUは今月、米国が安全保障を理由に鉄鋼・アルミ製品の輸入品に対する追加関税を導入したことを受け、二輪車などの米国製品に25%の追加関税の報復措置を発動した。
トランプ大統領は、「よりによってハーレーダビッドソンが最初に白旗を揚げたのには驚いた。彼らのために懸命に戦ったし、最終的にはEU内での販売に関税は払わなくて良くなった。EUは貿易で我々に大きな損害を与えている。1510億ドルもだ。税はハーレーの単なる言い訳だ。辛抱しろ!」とツイートした。
アメリカの象徴=トランプが、アメリカの象徴=ハーレーをイジメる。
日本の自称リバタリアン、特にアイン・ランド主義者に聞きたいが、
勝手に税金を掛けておいて、商売の邪魔をしておいて、対応する企業の経営判断に対して「辛抱しろ!」「懲罰課税するぞ!」と言い放つ、そんな政治家を、
あの自由放任の女戦士・アイン・ランドが許すとでも思うのか?
日本でアイン・ランドを紹介している(もちろん、その広報活動は肯定的に評価するが)、脇坂あゆみさん、藤森かよこさん(※)あたりは、現時点でのトランプ政権の政策をどう考えているのか?
特に脇坂あゆみさんは「トランプ政権=リバタリアン」論をネットに書いてる。
右翼や左翼と異なり、リバタリアンは日本であんまり知名度が高くない思想なだけに、あの文章は、日本人にリバタリアニズムを誤解させてしまったと思う。
(※):アイン・ランドも女性だが、日本の信奉者ランディアンも、偶然にも、女性だ。いや、これは偶然ではなく、何らかの思想的必然性があるのかもしれない。「アイン・ランド主義」と「ジェンダー」かあ・・・無学な私には手が余る。
私自身はリバタリアン思想は大いに評価する。人類の希望の灯火とさえ思う。
しかし、アイン・ランドは非常に危険だと思っている。
乱暴に言えば、
広く、自由主義、リバタリアン思想における、アイン・ランドの立ち位置は、
広く、リベラル、社会主義思想における、ウラジミール・イリイチ・レーニンの立ち位置と同じだと思う。
#アイン・ランド はレーニン共産主義の私生児(その1)~トランプ支持の自称 #リバタリアン はインチキな偽者。 - 在日琉球人の王政復古日記
#アイン・ランド はレーニン共産主義の私生児(その2)~質問『Who is John Galt?』→回答『オマエじゃない(笑)』 #リバタリアン - 在日琉球人の王政復古日記
つまりは、理屈を優先して、人間の感情や限界を無視した、思想的狂人。
もちろん、アイン・ランドの魅力は判る。
右翼が、玉砕や特攻隊に興奮し、ムッソリーニよりヒトラーが好きなのも、
左翼が、全てを消滅させるポルポトや連合赤軍に突き進むのも、同じだ。
人間は、いや思想という魔性に魅入られた人間は、思想の極限まで暴走する過剰に心酔するものなのだ。アイン・ランドの魅力も、同じく「破滅の美学」だ。
血は争えない。
やっぱり、アイン・ランド(本名:アリーサ・ジノヴィエヴナ・ローゼンバウム)も、レーニンと同じ、あのロシアの大地から生まれた思想家なのだ。
リベラル思想全般は評価できても、いくらなんでも、そこから生まれてしまった危殆児・レーニンにまでは共感できない。アイン・ランドも同じである。
ハーレーダビッドソンが印象的な映画と言えば、アメリカンニューシネマの代表作「イージーライダー」。
ベトナム反戦!反体制ヒッピー発祥の地・バークレー~アメリカンニューシネマ「卒業」VSアンチリベラル「ダーティーハリー」 - 在日琉球人の王政復古日記
#音楽に政治を持ち込むなよ ~ブルース・スプリングスティーン「ボーン・イン・ザ・USA」VSシルヴェスター・スタローン「ランボー」 - 在日琉球人の王政復古日記
カウンターカルチャーゆえに、リベラル左翼的な受け取られ方をしているが、
ドラッグで儲けて、自由気ままにハーレーを飛ばす、「リバタリアン映画」と呼んでもいいかもしれない。
《リバタリアン映画列伝》「ニューヨーク1997」「エスケープ・フロム・LA」~トランプVSサンダースVSスネーク #Calexit #NYexit - 在日琉球人の王政復古日記
(まとめ)リバタリアン映画列伝 - 在日琉球人の王政復古日記
映画「イージーライダー」のラストで、
アメリカの象徴=南部のオヤジが、アメリカの象徴=ハーレーを撃ち殺す。
Easy Rider (8/8) Movie CLIP - The End of the Road (1969) HD
理由は「男のくせに長髪で、ワケの判らない格好してるから、ムカつく」。
他人の自由なライフスタイルに無関心、どころか、自分たちのライフスタイル以外に悪意・憎悪すら持っている、彼ら南部のオヤジたちの子孫が、21世紀にトランプに投票したのだ。
国境を越えてどこまでも自由気ままに疾走するハーレーも「アメリカ」だが、
他の価値観を認めない、全てを銃で解決する、メンタリティが中央アジアのイスラム原理主義者にも近い、そしてトランプに投票した、アメリカ南部や中西部のオヤジも、まさに「アメリカ」そのものだ。
「イージーライダー」と「南部オヤジ」の対立は、
「ハーレーダビッドソン」と「トランプ」の対立に引き継がれていく。