在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

お笑い政治論争(1) #茂木健一郎 の腰砕け #松本人志 の脅迫~日本人はモンティ・パイソンで笑えるか?

もはや、「モンティ・パイソン」と言っても、「何それ?」という時代だろう。

 

モンティ・パイソンとは、1970年代に一世を風靡した、イギリスのコメディ集団である。イギリスBBC(日本で言えばNHK)で、イギリスを超えて全世界的に人気を誇ったお笑い番組Monty Python's Flying Circus」をやっていた。

 

昔なら、日本でも、お笑い好きなら誰でも知っていた、有名なオープニング。

 


Monty Python's Flying Circus (Intro) S2 (1970)

 

 

しかし、ある日、まったく異なるオープニングで始まった回がある。

 

なぜなら「本日は、畏れ多くもエリザベス女王陛下が、モンティ・パイソンを御天覧あらせられる」という情報が英国政府並びにBBCから通達されたからだ。

 

下に張ったyoutubeは、英語のまんまで、日本人には一言一句まったく理解し難いだろうが、ガマンして、最初の2分くらいだけでいいから見てもらいたい。

 

英語が判らなくとも、

これから、この番組は、女王陛下がご覧になられます。
だからといって、カッコをつけたり、上品に振る舞うわけではありません。
まったく普段通り、そのままの雰囲気で放送します。ではどうぞ。 

と言いながら、オープニングが始まった、と思って観ていただきたい。 

 


Monty Python Season 2 Episode 13 - 1

 

 

英国王室の紋章を足で踏みつぶす。日本で言うなら畏れ多くも菊の御紋章だ(笑)。

 

この回は、普段以上に下品なジョークがてんこ盛りで、最後のコントは「葬儀屋で死体の人肉を食う食わない」という話だ。

「いくらモンティパイソンでも、女王陛下が見てるのに下品で不謹慎だ!」ということで観客からブーイングが飛び始め、最後は怒った観客が乱入してケンカが始まる。

しかし、そこに英国国歌が流れて、コメディアンも観客も直立不動になる。

 

女王陛下を笑いものにする、そして、尊王的な振る舞いも笑いものにする、これが、イギリスのコメディだ。

 

これが、茂木健一郎が高く評価する、欧米の「政治的ジョーク」だ。

彼は「こういう高級(?)な笑いが日本でも受け入れられる」と本気で思ってるのだろうか(笑)?

 

先日、日本のお笑いを巡って騒動があった。

 

茂木健一郎氏、日本のお笑い芸人は「終わっている」 - 芸能 : 日刊スポーツ

2017年3月2日
 脳科学者の茂木健一郎氏(54)が、日本のお笑い芸人を「終わっている」と痛烈批判した。
 茂木氏はかねて「強い者をやゆしてこそコメディアン『笑い』のプライドだ」との考えを示しており、日本のお笑いについては「人間関係をいじる笑いはあっても、差別や偏見、政治的対立をネタにする、国際水準のコメディーは存在しません。だから、つまらん」と批判していた。
 先月25日にもツイッターで、政治問題などに斬りかかる欧米のコメディアンに対し、「一方、日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」とバッサリ。1日には「日本の『お笑い芸人』のメジャーだとか、大物とか言われている人たちは、国際水準のコメディアンとはかけ離れているし、本当に『終わっている』」と切り捨てた。 

 

太田光、茂木健一郎氏に猛反論「うるせえよバカ」 - 芸能 : 日刊スポーツ

2017年3月8日
 爆笑問題太田光(51)が、日本のお笑い芸人を「終わっている」と痛烈批判して話題となっている脳科学者の茂木健一郎氏(54)に猛反論した。
 太田は7日深夜放送のTBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」で、先頃行われた米アカデミー賞の授賞式でトランプ大統領に批判が集中した騒ぎについて触れた後、その流れで「それ(政治風刺)がいかにも良いっていう……誰とは言わないけどさ、うるせえよバカ」と、名前は出さなかったが茂木氏による日本のお笑い批判に言及した。
 太田は政治風刺について「あんなものは簡単なんですよ」とし、「日本のお笑いの方がよっぽど多様性がありますよ」と主張する。「PPAP」で世界的ブームとなったピコ太郎を例に挙げ、「何の意味もないのに世界中が大笑いするじゃないですか」と日本発の笑いが世界中に広がっていることを指摘。さらに裸芸でR-1王者となったアキラ100%を例に挙げ、「あんなものはナンセンスですけど、あれは結局ね、局部を映しちゃいけないっていう放送を茶化してるわけですよ。ゴールデンのど真ん中で、ちんちん映るか映らないかってやって、みんなでゲラゲラ笑ってるんだよ。それは日本人の客のレベルが高いってことなんですよ」と説明した。相方の田中裕二も「逆に高い。低く思われがちだけどね」と同調した。 

  

松本人志と博多大吉が反論 茂木健一郎氏のお笑い批判に/芸能/デイリースポーツ online

2017.3.19
(略)

 松本は「全然腹が立たなかったんですよ。茂木さんが全然面白くないから。笑いのセンスが全くないから、この人に言われても刺さらねえぜって感じ。ムカッとも全然来ない」と前置きし、「風刺とか、下から上の人たちになんか言う…笑いの取り方としてはいちばん安易ですごい簡単なこと。誰でもできるんですけど、日本のコメディアンはあまりやらないだけ」と解説。
 実は腹に据えかねていたのか、「茂木」と呼び捨てにする一幕もあった。
 大吉は「そうおっしゃるのも分かりますけど、政治を風刺するお笑いの限界も何となく分かってるから。やったってそんなに大した笑いをとれない。例えば安倍総理でとれた笑いの量と降りかかるリスク考えたら、全く釣り合ってない。そういうことを考えて僕は芸人をやってるんですよ」と、日本の芸人としての考え方を率直に説明していた。

  

立川志らくが茂木健一郎氏“袋だたき”状態に異論 (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

2017/3/23(木)
 落語家の立川志らく(53)が、お笑い批判で物議をかもした脳科学者の茂木健一郎氏(54)をテレビタレントたちが“袋だたき”にしたことに異論を唱えた。
(略)
 ただ、茂木氏の発言は日本のテレビ業界のあしき慣習に一石を投じようとする問題提起であり、ウーマンラッシュアワー村本大輔ツイッターで「正しい間違いは別として、それに付随するいろんなものを考えるいいきっかけになる、とても勇気のいるナイス発言だと思う」と発言。志らくもまた「現在のテレビでもてはやされている使い捨てにされている若手のお笑い芸人に対して。それに関してなら私も同調する部分はある」と言及。「落語や喜劇は笑いが目的ではなく手段なのです。お笑い芸人は笑いが目的になってしまっている」と私見を述べていた。

(略)

 しかしこうした“サンドバッグ状態”に、志らくは23日にツイッターで「茂木健一郎氏が今のお笑いオワコン発言で謝罪。それをタレントが袋だたき。別に謝罪することは無い。私もカチンとはきたがそれは茂木氏の考えであって別に問題はない」と茂木氏を擁護。「(ダウンタウン)松本さんみたいに皮肉のギャグで返すのが本筋。袋だたきにするのはおかしい。何も発言出来なくなる。その考えは違うと主張するのは良い」と、タレントコメンテーターたちが一斉にバッシングする風潮にくぎを刺した。

 

茂木健一郎VS松本人志爆笑問題などお笑い芸人たち。

 

どっちが間違ってるか?と言えば、双方が別々の面で間違ってる。

そして、その割合は、3:7で松本人志爆笑問題の方が間違ってると思う。

 

まず、はたして、政治的ジョークがお笑いの中でもっとも高級なのかどうか?

たとえば、ウンコやチンチンなど下ネタは下品とされる。しかし全世界共通なのはこの下品な下ネタなのだ。ほぼ全世界、全民族で、下ネタは定番だ。

 

しかし、政治はクソだ、政治こそウンコやチンチンより下品だ、という反語的な言い方もされるだろうが、世界中の新聞で、一面が政治や経済の新聞を高級紙とされ、一面がスポーツや芸能人ゴシップの新聞より格上とされている。

よって、政治は、一応、ウンコやチンチンより、高級とされている。

ゆえに、政治的ジョークは、下ネタよりも、高級とされてもしょうがない。

 

ただし、お笑いにおいて、「高級・低級」と、「需要がある・ない」は、全く別の話だ。

 

ブルックスブラザーズとユニクロ、どっちがたくさん売れているか?

アメリカのオバマケアやイギリスのEU離脱と、

プロ野球WBCやサッカー日本代表や大相撲、芸能人のスキャンダル、そしてそもそもこの「茂木お笑い騒動」、

どっちの分野の方がニュースアクセス数が多いのか? 圧倒的に後者である。

たとえ高級でも需要が無いモノは売れないし、低級でも需要のあるモノは売れる。

客に受けなければ稼げない商売人である、テレビとお笑い芸人が、どっちを重視するかは、言うまでもない。

 

日本で、政治的ジョークが流行らないのは、まず第一に、需要が無いからであり、それは、供給者のお笑い芸人の問題ではなく、消費者である視聴者の問題なのだ。

茂木健一郎が批判すべきオワコンは、日本のお笑い芸人ではなく、視聴者=一般の日本人なのである。

ここは、お笑い芸人を批判した茂木健一郎の方が間違ってる。

 

 

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