お笑い政治論争(1) #茂木健一郎 の腰砕け #松本人志 の脅迫~日本人はモンティ・パイソンで笑えるか? - 在日琉球人の王政復古日記
の続き。
ただし、お笑いにおいて、「高級・低級」と、「難しい・カンタン」そして「面白い・つまらない」も全く別の話だ。
爆笑問題や松本人志は「政治ネタはカンタンだが、日本のお笑いはカンタンすぎて誰もやらないだけ」と言うが、そんなの「ウソ」である(笑)。
意地悪く解釈すれば、業界や自分たちを守るための「ハッタリ」だ。
毎年、多くの若者がお笑いを目指す。
彼ら彼女らは、売れるために必死だ。命がけ、人生を賭けている。
そして、その9割以上は、中年になって夢破れ、挫折して、業界から去っていく。
M―1ファイナリスト「カナリア」が来年3月で解散 夢の優勝遠く…2人の漫才性に違い (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
もし本当に、政治ネタでカンタンに笑いが取れるのなら、若手芸人は政治ネタ作りに殺到しているはずである。
そういうタイプの笑いが好きじゃない、とかそんなネゴトを言ってるヒマはない。芸人として、生き残るか、負けて去るか、の土壇場の話だ。
売れるんだったら、カンタンなんだったら、政治ネタ芸人がもっともっとたくさんいるはずなのである。
しかし、そんな芸人はほとんどいない。つまり、現実として、政治ネタは、あんまり受けないか、または、カンタンではないということだ。
カンタンなのは、政治ネタではなく、つまらない政治ネタなのだ。
下ネタも、つまらない下ネタは、カンタンなのだ。
反対に、面白い下ネタは作るのが難しい。同じく、面白い政治ネタは作るのが難しいのだ。
全世界レベルで、つまらない政治ネタは、つまらない下ネタ同様、当たり前だが、需要は無い。
そして、日本においては、面白い政治ネタは、面白い下ネタと異なり、需要が少ない。
よって、日本のお笑い芸人にとって、面白い政治ネタは売れないから作るだけ無駄で、面白い下ネタは必死で作る意味があるのだ。
政治ネタは、特に日本では、苦労して手に入る笑いの「取れ高」に比べて、炎上などのリスクが高すぎる。デメリットが大きい。やるだけ損なのだ。
だから、売れっ子のお笑い芸人は誰もやらない。つまり博多大吉の意見が一番正しい。
「暴対法」があればSMAPはジャニーズから独立可能。それは、雇用改革、労働市場自由化、解雇規制緩和への道。 - 在日琉球人の王政復古日記
そして、茂木健一郎のオワコン発言も、お笑い芸人に対して失礼だったが、
お笑い芸人の茂木健一郎袋叩きも、どうしようもないダメダメレベルである。
茂木健一郎の「日本のお笑いは、世界水準より低い」も疑問の余地があるが、
爆笑問題の「日本のお笑いほうが(世界より)レベルが高い」というのも、ホントかいな?である。
茂木健一郎も、爆笑問題も、日本と世界のお笑いレベルをどうやって調べたのか?
茂木健一郎のいう「世界」は、世界ではなくアメリカとヨーロッパだろう(それもそれで、アジア、アフリカは世界じゃないのか?差別ではないか?と思うが)が、日本は前近代から落語というコメディ・ビジネスが確立していたくらい、世界的にも特異な国である。歴史的に見れば、日本の笑いが世界標準で劣っているとは言えないだろう。
かといって、前近代が優れていたからって、今も優れている証拠にはならない。
映画においては、ここ100年、つい最近まで、韓国映画は、日本映画と比較にならないくらいダメだったが、21世紀の今になっては、韓国の方が日本よりレベルが高かったりするのだ。
松本人志の反論も、レベルがひどすぎる。
茂木健一郎の発言自体がお笑いとしてセンスが無かろうが、それは茂木健一郎の発言が間違ってることの証明にはならない。
お笑いへの批判が、お笑いである必要は、全くない。
批判の価値は、笑えるか、笑えないか、ではない。正しいか、間違ってるか、だ。
もし、お笑いへの批判がお笑いとして成立しないとダメならば、下手糞な素人が上手なプロを批判してはいけないのならば、一般庶民は、誰も、プロ野球やサッカー日本代表を批判できない。なぜなら批判する素人のほうが野球やサッカーがプロより下手に決まっているからだ。
で、松本人志自身が、確実にプロ野球選手より野球が下手なのに、プロ野球を批判しているのである。
WBCへの苦言叩かれた松本人志、茂木氏と違い強調 - 芸能 : 日刊スポーツ
2017年3月26日
ダウンタウンの松本人志(53)が、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の試合時間を「長い」と発言して批判を受けたとして、釈明した。
松本は19日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」でWBCの話題を取り上げていた際、試合時間について「長くないっすか」と不満をいい、「2アウトで終わりにするとか、6回で終わりにするとか、ホームランを打っても(ダイヤモンドを)回らないとか」と提案していた。
しかしこの発言が野球ファンの反感を買ってしまったという。26日の同番組で「すっげえたたかれた。『ボロクソ言うな』って」と振り返った。
この日は日本のお笑い批判で物議をかもした脳科学者の茂木健一郎氏がゲスト出演したが、松本はネット上で「お前も茂木さんと同じことやってるやないか」とたたかれたという。しかし「違うんですよ。僕は野球のルールをこうした方がいいんじゃないかとか、長すぎへんかとは言いましたけど、野球選手の技術とか、その人が生業(なりわい)にしていることを絶対に悪く言ったことはない」と釈明した。
何も違わない。ほとんど同じである。
松本人志は、プロ野球選手ではなく、野球のシステムを批判したんだろうが、
茂木健一郎も、お笑い芸人ではなく、日本のお笑いシステムを批判した、つもりだったのだ。
もちろん、茂木の場合、最初の文章は明らかに芸人=人間批判になってるから、言い訳は苦しい(笑)。だから茂木は間違っている。
しかし、茂木が本当に言いたかったことは、テレビのタブーや業界のヒエラルキーを含む、システム批判である。
松本人志は、結構辛口の映画評論をしていた。そして映画監督もやった。
ぶっちゃけて言うのなら、松本は「しんぼる」「さや侍」レベルの凡作・駄作しか作れないくせに、他人の映画を批評していたのだ。
しかし、ダメ映画を撮ってるくせに、他人の映画を批評するな、ではない。
たとえダメ映画を撮っても、他人の映画を批評していいし、その批評が正しければ、なお素晴らしい。
それは、茂木健一郎が、たとえ発言内容がお笑いとしてスベッていても、プロのお笑いを批判していいし、その批判が正しければ、さらに素晴らしい、のと同じだ。
松本人志も、業界のトップなら、言い方が面白くない、なんていう逃げ口上ではなく、ちゃんとマジメに反論するか、
または、プロ野球選手だって野球素人の松本人志に反論しないように、プロの松本も素人の茂木をとことん無視すれば済んだ話だ。
それを、茂木の発言は面白くないから「刺さらない」だのなんだの、松本本人の努力と才能で築き上げたテレビ業界における圧倒的なネームバリューを笠に着た、あからさまな言論封殺であり、誠にみっともない。
ただし、爆笑問題、松本人志を批判したからって、茂木健一郎に問題が無いわけではない。こっちもかなりヤバい(笑)。
茂木の「政治ネタ最高論」は単なる思い付きではなく、彼の昔からの信念・持論だ。前に書いたことがある。
「笑い」は常に「弱者」の敵であり、民主主義は「笑い」の敵だ~動物や障害者を嬲り殺して楽しんできた人間の歴史。 - 在日琉球人の王政復古日記
彼のお笑い論の問題は、政治ネタが、すべて「下から上へ」の批判だと思い込んでいることだ。
しかし、それは間違いである。政治ネタが危険なのは、「上から下へ」の笑いも許容するからだ。
歴史的にも、お笑いは、一般庶民が、自分以下の弱者を嘲笑することが、圧倒的に多かったのだ。
ナチスはユダヤ人を嘲笑し、白人は黒人を嘲笑し、健常者は身体障害者や精神障害者を嬲りものにする。
言葉だけでなく、本当に暴力をふるう。そして、殴られて痛がって泣く弱者をさらに笑いものにしてきたのだ。
日本の学校のイジメは異常でも何でもない。それが人間の歴史だ。
アメリカにも、こういう笑いがある。
どっちも英語なんで、面白さが100%伝わらないのが残念だ。
ジョージ・カーリンの「宗教はクソだ」。最初の2分間で十分である。
「宗教(ユダヤ教、キリスト教)はわけのわからん駄法螺を吹く。考えてもみろよ。見えない男=神が天界に住んでいて、ヤツはいつでもなんでも知っていて、10個の禁止事項を勝手に決めて、上から目線で世界中を監視している。そして禁止を破った罰当たりどもを特殊な場所に追い詰めて、炎やガスや雷で焼き尽くす。泣いてもわめいても永遠に許さず責め立てる、、、でも、ヤツ=神はオレたちを愛しているらしい(笑)」
,,,But He Loves You.
George Carlin --- Religion is Bullshit
こっちは、アフリカ系のデイヴ・シャペル。
生まれながら盲目の黒人は自分を白人だと思い込み「ホワイト・パワー!」と拳を上げる。
ヒップホップを流す白人の車に「ニガーはうるさい!」と罵詈雑言を浴びせる。
ブラックカルチャーかぶれの白人の若造たちは「やったぜ!黒人から、オレたちの音楽は黒人並みだと褒められた!」と大喜び。
そして、盲目黒人はKKKの集会で黒人差別の大演説、興奮しすぎて、マスクを取ってしまう。
Chappelle's Show | Clayton Bigsby: The Black White Supremacist Part 2
黒人という人種を茶化し、盲目という身体障碍をネタにしているのである。
私だって、茂木と同じく、欧米の政治ネタ、モンティ・パイソン、ジョージ・カーリン、デイヴ・シャペル、サタデー・ナイト・ライブ、ビル・マーなどなどは好きである。
でも、悲しいかな、欧米文化に詳しくないし、何より英語が出来ないので、全部は理解できないし、笑いといっても、爆笑ではなく、クスクス、ニヤニヤである。
その点、ハリウッドザコシショウの古畑任三郎なら、ワキ腹が痛くなるまで涙を流して爆笑できる。
選べ!と言われれば、モンティ・パイソンより、ハリウッドザコシショウを選ぶしかない。
しかし、それは、ハリウッドザコシショウがモンティ・パイソンより優れているのではなく、たまたま、偶然にも、私とハリウッドザコシショウが同じ言語・同じ文化圏に生きている、私とモンティ・パイソンは異なる言語・文化県に生きている、というのが理由の99%なのだ。
欧米を基準にして、日本を批判する。
そういう意味では、茂木健一郎と橋下徹は同じことを言ってるのだ。
外圧ネオリベ(橋下日米安保←憲法9条GHQ東京裁判ポツダム←ハルノート←ペリー黒船)VS攘夷右翼&反戦左翼。 - 在日琉球人の王政復古日記
「世界のお笑い・茂木健一郎」VS「日本のお笑い・松本人志」は、
構図は同じなのである。
だから、 茂木や橋下が間違ってる!とも言えないし、正しいとも言えない。
そんなに単純ならば、政治も、お笑いも、もっとカンタンなのである。
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