在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

石VS人間~罪なき者が石を投げよ~ZARA Vanessa Perilman 対 Qaher Harhash パレスチナ~stoned to death / stoning

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使徒聖ステファノの殉教。

 

人間は石より柔らかい。

恐ろしい事実である。この世の全てを創造した神の悪意を感じる。

 

新約聖書 使徒行伝
7:51 ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。
7:52 いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかた(注:ナザレのイエス)の来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかた(注:ナザレのイエス)を裏切る者、また殺す者となった。
7:53 あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」。
7:54 人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステパノにむかって、歯ぎしりをした。
7:55 しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。
7:56 そこで、彼は「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。
7:57 人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステパノを目がけて、いっせいに殺到し、
7:58 彼を市外に引き出して、石で打った。これに立ち合った人たちは、自分の上着を脱いで、サウロ(注:後の使徒パウロ)という若者の足もとに置いた。
7:59 こうして、彼らがステパノに石を投げつけている間、ステパノは祈りつづけて言った、「主イエスよ、わたしの霊をお受け下さい」。
7:60 そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」。こう言って、彼は眠りについた。
8:1 サウロ(注:後の使徒パウロ)は、ステパノを殺すことに賛成していた。その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起り、使徒以外の者はことごとく、ユダヤとサマリヤとの地方に散らされて行った。
8:2 信仰深い人たちはステパノを葬り、彼のために胸を打って、非常に悲しんだ。

 

ユダヤ教徒を批判して石打刑で殺されたユダヤキリスト教使徒ステファノ。

原始キリスト教最初の殉教者と言われる。

 

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人間は4つ足から直立歩行になった、と言うけれど、本当だろうか?

だって人間の直接の御先祖様は樹上生活である。

 

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彼らは「4つ足」ではない。

前肢も後肢も枝をつかめるわけで「足」ではなく「手」だ。

人間は「4つ手」から、直立歩行となった。

「前足」が「手」になったのではなく、「後手」が「足」になったのだ。

 

人間は「手」を使えるようになった、のではない。

人間は「足」で地上を歩ける/走れるようになった、と考えた方が正しい。

 

樹上=エデンの園で木の枝を握っていた人間が、地上に堕ちて石を握るようになる。ここから文明=地獄が始まる。

 

人間が最初に作った道具は鉄器でも銅器でもなく石器である。

人間は石より柔らかい。

拳で殴ったら、殴った方もケガをするが、石で殴ったも、殴った方はケガしない。

人間は、獲物を、人間を、石で殴り殺すことができる。

 

さらに、人間は、モノを投げることもできる。

 

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石を投げる。当たった獲物は昏倒する。当たった人間は死ぬ。投げる方は安全だ。

これが、人類最初のICBMである。

 

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石は、山でも谷でも野原でも浜辺でも、全世界に転がっている。

ゆえに、人間は、どこでも、いつでも、石を握れた。

石を投げる文化は全世界に大昔からある。

投石は、まず狩猟の道具であり、戦場の兵器だった。

 

日本でも昔から投石=印地が行われていた。

戦国時代、南蛮より火縄鉄砲が入って来たが、その前から弓矢があった。そして火縄鉄砲が入って来てからも、戦場から弓矢が無くなったわけではない。戦国時代を通して弓矢が現役兵器だった。

そして同じく戦国時代を通して印地も現役兵器であり、宮本武蔵島原の乱(1637年)で印地を受けて重傷を負っている。石は鋼の刀・二天一流に勝ったのだ。

 

平安時代の昔から、おそらくもっと古く、印地は戦場だけでなく、平時の農民や町人も行っていた。水争いや喧嘩の手段、子供の遊戯、そして正月や端午の節句には祭礼の意味合いで行われた。ケガは当たり前で、死人も出た。

鎌倉幕府江戸幕府が禁令を出すくらいポピュラーな習俗だった。その習俗は明治を越えて戦後も残っている。

 

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日活映画「石合戦」(1955年)。さすがに未見(笑)。 

 

もちろん、日本だけではない。朝鮮も石合戦が盛んだった。

李朝も禁令を出したようだが流行は続き、最後は朝鮮総督府の禁令でようやく無くなったらしい。

  

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今のところ、日本で最後の石合戦は、60年代70年安保闘争である。

左翼学生は路上の敷石をはがして投擲した。

 

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警察機動隊がジュラルミン盾・手甲脚絆の重防備スタイルになったのは左翼学生からの印地防御のためである。

70年代から東京では都市大改造が始まる。それまで路上は灰色の石畳やコンクリートだったのに、印地防止のため、真っ黒のアスファルトに変わっていく。

安保闘争は東京の「街の色」も一変させた。

 

投石は、戦争、喧嘩、遊戯、祭礼だけでなく、処刑(というより私刑・リンチ)でも使われた。特に中東である。

 

ZARAのヘッドデザイナーがモデルに送ったメッセージに非難 ボイコット運動に発展

2021年06月16日
 イスラエルパレスチナイスラム原理主義組織ハマスによる軍事衝突を巡ってパレスチナ人モデルのQaher Harhashが、「ザラ(ZARA)」のウィメンズ部門のヘッドデザイナーVanessa Perilmanから届いたと見られる反パレスチナ派のインスタグラムメッセージを公開した。これを受け、海外のSNSでは「BoycottZara」や「ZaraMustApologize」というハッシュタグが拡散されており、ザラのボイコットを呼びかける動きに発展している。
 Qaher Harhashの投稿によると、Vanessa Perilmanから「もし、あなた方がきちんと教育を受けていれば、イスラエルがガザで費用を負担した病院や学校を爆破することはなかったでしょう」や、「また、あなたがモデルであるのは興味深いです。それはイスラム教の信仰に反することですから」というメッセージを受け取ったという。Qaher Harhashがインスタグラムのストーリーズにメッセージのスクリーンショットを公開したことで、Vanessa Perilmanへの非難が殺到している。
 その後、Vanessa PerilmanはQaher Harhashへ謝罪メッセージを送信。現在、すべてのSNSアカウントを削除したと見られる。
■抜粋コメント原文
「Maybe if your people were educated, then they wouldn't blow up hospitals and schools that Israel helped to pay for in Gaza」
「Also I think it's funny that a model because in reality that is against what the Muslim faith believes in and if you were to come out of the closet in any Muslim country you would be stoned to death

 

ZARAのデザイナーVanessa Perilmanが、パレスチナ人Qaher Harhashに「モデルの仕事はイスラムの教えに反しているでしょ」と嘲笑したらしい。

Vanessa Perilmanの姓ペリルマン/パールマンは、東欧系ユダヤ人によくある名前だから、彼女はおそらくユダヤ人だろう。だからパレスチナ人にケンカを売ったのだ。

 

しかし、そもそも、偶像崇拝禁止は、ユダヤ教が本家本元であり、イスラムはその弟子筋である。

いくらパレスチナ人がイスラムでも、ユダヤ人から偶像崇拝禁止をとやかく言われる筋合いはない。

モデルが偶像崇拝なら、Vanessa Perilmanだってデザイナーなんだから、ユダヤ教的にはアウトな仕事をしているわけだ。 

 

彼女のメッセージの最後「stoned to death」が死に至る投石=石打刑の意味である。同じく、石に現在分詞ingを付けて「stoning」とすれば石打刑の意味になる。

「石=殺人・リンチ」のイメージは、ユダヤ人だけでなく、イスラムだけでなく、キリスト教圏も同様だ。なぜなら聖書(旧約・新約・コーラン)に載っているからだ。

  

ユダヤ人の彼女は、イスラムの野蛮さを蔑んで、パレスチナ人に石打刑という単語を使った。

確かにイスラムにも石打刑の風習は残っている。

しかし、石打刑の風習ももともとはユダヤ(だけではないが)の風習なのだ。ユダヤ教旧約聖書で神が石打刑を命じている。

 

旧約聖書 レビ記
20:1 主はまたモーセに言われた、
20:2 「イスラエルの人々に言いなさい、『イスラエルの人々のうち、またイスラエルのうちに寄留する他国人のうち、だれでもその子供をモレクにささげる者は、必ず殺されなければならない。すなわち、国の民は彼を石で撃たなければならない。

 

キリスト教新約聖書にも石打刑の記述がある。上記のように、使徒ステファノもユダヤ人の石打刑で殺された。

何より、キリスト教の有名な説教のシーンに出て来る。

 

新約聖書 ヨハネ福音書
8:1 イエスはオリブ山に行かれた。
8:2 朝早くまた宮にはいられると、人々が皆みもとに集まってきたので、イエスはすわって彼らを教えておられた。
8:3 すると、律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をしている時につかまえられた女をひっぱってきて、中に立たせた上、イエスに言った、
8:4 「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。
8:5 モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」。
8:6 彼らがそう言ったのは、イエスをためして、訴える口実を得るためであった。しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に何か書いておられた。
8:7 彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」。
8:8 そしてまた身をかがめて、地面に物を書きつづけられた。
8:9 これを聞くと、彼らは年寄から始めて、ひとりびとり出て行き、ついに、イエスだけになり、女は中にいたまま残された。
8:10 そこでイエスは身を起して女に言われた、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」。
8:11 女は言った、「主よ、だれもございません」。イエスは言われた、「わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」。

 

イスラムの野蛮は、だいたいキリスト教の野蛮であり、おおもとはユダヤ教から続いている。

ユダヤ人が旧約聖書で神が命じている聖なる石打刑を、イスラムへの悪口に使うなんて、同じ神への侮辱であり、本末転倒、ブーメランもいいところである。

 

石打刑が可能なのは、石が人間より硬い=人間が石より柔らかい、からだ。

そして、この世に石なんて硬いもんを作り給うたのは、

この世に石を握れる手を持った人間なんてもんを作り給うたのは、

そんな石と人間を世界中にばらまいたのは、

ユダヤの神=キリスト教の神=イスラムの神である。

わざわざ、故意に、石を硬く、人間を柔らかく、手が石を握りやすく、投げやすく、殺しやすいように、作り給うたのは神である。

 

「人間よ、人間を石で殺せ」とは、神の聖なる命令だ。

ユダヤ人ならぬ、クリスチャンならぬ、ムスリムならぬ、地の果ての偶像崇拝者に言わせてもらえれば、創造神を善だと信じるのは、かなり困難である。

 

ヨハネ福音書で「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」と語った神の子は、Vanessa Perilmanにこう言うだろう。

 

あなたがたの中でパレスチナ人の土地を奪わなかったユダヤ人が、まずこのパレスチナ人に罵詈雑言を投げつけるがよい

 

ただし、この有名な御言葉は、古いヨハネ福音書写本にはごっそり無く、まるまる後代の人間による「追加」「偽造」である可能性が高いらしい。

真理を述べる神の御言葉ではなく、教会体制擁護の人間による虚言。

無慈悲な神の真理を信じるべきか?慈悲深い人間のウソを信じるべきか?

 

ユダヤ教のVanessa Perilmanも、イスラムのQaher Harhashも、不信心な琉球人も、石ころだらけの荒野に立ち尽くすのみだ。

 

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