在日琉球人の王政復古日記

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イスラム版「坂の上の雲」~オスマン帝国の幕末、それぞれの明治維新、それぞれの尊皇攘夷、それぞれのハルノート。

イラン核協議 イランと米国の「歴史的」な合意 (THE PAGE) - Yahoo!ニュース

 2015/7/28(火)

 さて、この合意は、なぜ歴史的と評価されているのでしょうか。この合意の最大の意義はイランとアメリカとの軍事衝突の可能性を大幅に低下させた点にあります。アメリカはイランの核兵器保有は容認しない。それを阻止するためには軍事力の行使を排除しないという立場でした。つまり戦争をしてでもイランの核兵器製造を阻止する構えだったのです。しかし今回の合意によって、イランが秘密裏に短期間で核兵器を製造することはできなくなりましたので、アメリカが軍事力を行使する必要はなくなりました。つまり中東での新たな戦争の可能性は薄くなったのです。新たな戦争を防ぐのですから、歴史的という評価は当然でしょう。

 第二に歴史的なのは、これがアメリカとイランとの間の合意である点です。というのは、両国間には深い因縁があるからです。1979年の革命でイラン・イスラム共和国が成立する前までは、王制のイランはアメリカの同盟国であり、同国の中東政策の要(かなめ)でした。しかし1979年に成立した革命政権は反アメリカ的であり、1980年にはテヘランのアメリカ大使館が学生たちに占拠され、大使館員が人質になるという事件が起こりました。この事件は444日間にわたって続き、アメリカ人の多くはイランによって辱(はずかし)められたとの感情を抱きました。アメリカの心理に深い反イラン感情を刷り込んだ事件でした。

 今回の合意の意義は、こうしたアメリカ国民の深い反イラン感情をオバマ政権が乗り越えた点にあるわけです。戦争を防ぎたいとの思いが、イランに対する嫌悪感を抑え込んだわけです。イラン革命から36年が経過し、大使館人質事件を覚えていない世代が増えてきたというのも、アメリカ市民の対イラン感情の軟化に貢献しているでしょう。

 

オバマさん、EU、イラン穏健派で、なんとかまとめた「イラン核合意」だが、反対派も、共和党イスラエル、イラン保守派、サウジアラビアなどスンニ派、と豪華オールスターキャストで、行く先はなかなか不透明だ。

面白いのは、共和党イスラエル、イラン保守派、スンニ派と、反対派同士がお互いに最悪に仲が悪い(笑)、というところか。

安保法案成立後の安倍日本は、この世界最悪の鉄火場に乗り込んで、丁半バクチで勝たねばならないのである。

 

アメリカとイランが和解すれば、シーア派とパイプが持てる。短期的に大きいのは、イスラム国ISISへの対応だ。

ISISはスンニ派であり、シーア派イランとは不倶戴天の敵。

装備が格上で、戦闘意欲でISISに劣らない、イラン軍にISISを叩いて貰えば、アメリカもEUも助かる。

ただし、シーア派が伸びれば、イスラムの多数派スンニ派が怒るので、バランスは難しい。

 

それでもアメリカが、イスラエルスンニ派サウジ、そしてシーア派イラン、中東の3大勢力をコントロールできれば、中東和平はかなり有望である。

つまりは中東を「イラン革命・前」「イスラム原理主義運動台頭・前」つまり「アラブ・ナショナリズム時代」に戻すことができる。

アラブ・ナショナリズム時代は、ソヴィエト社会主義の影響が強かったが、今や社会主義は死んだも同然で、欧米風近代的自由主義・民主主義が有望になる。

アラブの春」のやり直しは成功するだろうか?

 

日本近代史とイスラム近代史を大雑把に例えると、

オスマントルコ帝国が徳川幕府。第1次世界大戦が黒船である。

オスマン崩壊により中東は地域ごとバラバラに幕末を迎えることになる。

 

トルコのアタチュルクによる近代化=欧米化=脱イスラム化の路線は、まんま文明開化の明治維新だ。

 

時代は下るが、エジプトもナセルとサダトが近代化=欧米化=脱イスラム明治維新を選んだ。

 

イラクフセインだって、イラク戦争までは、イスラムを強調せず、アラブ社会主義だったのだ。産業振興に女性教育の充実。彼も広く言えば、近代化=欧米化=脱イスラム明治維新だ。

 

あのアフガニスタンだって、タリバンが出てくる前は、王制時代も、共和制時代も、ソ連傀儡の社会主義政権も、近代化=欧米化=脱イスラム明治維新をやった。親ソ社会主義政権のアフガンでは、女性はブルカを被らず、欧米風のスーツで社会進出していたのだ。

 

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当時のイランのパーレビやイラクフセイン言論弾圧や民衆弾圧をやってるが、それをいうなら、明治政府だって自由民権運動を弾圧した。よく似たものだ。

しかし、各国とも社会と経済が性急で無理のある近代化にストレスを感じるようになる。その反動がイスラム原理主義というわけだ。

 

 

その最初の国家規模の成功が「イラン革命」だったのだ。

イランも、最初は、パーレビ・シャーの近代化=欧米化=脱イスラム明治維新を選んだ。しかしイラン社会にストレスがたまる。

前近代ヨーロッパの王朝のようだった高圧的で豪奢で腐敗したパーレビ・シャー体制への革命は、最初は、民主派・リベラル派が主導し「イラン版フランス革命」になるはずだった。より自由でより民主的なイランの誕生。

しかし、ホメイニが帰国してから話が変わり始め、イラン民主革命がイラン・イスラム革命=復古になってしまう。

パーレビ時代は比較的自由で、欧米直輸入だった女性のファッションが、ホメイニの革命簒奪後、どんどんブルカに変わっていった。

 

《ガーリームービー列伝》イスラム少女戦記イラン編「オフサイド・ガールズ」(2006年) - 在日琉球人の王政復古日記

 

#ブルキニ #ヒジャブ #ニカブ #ブルカ VS #ビキニ VS #フェミニズム ~イスラム女性50年戦争。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

日本で言えば、文明開化派が負けて、尊皇攘夷派が逆転したようなものだ。

例えるなら、イランは、大久保利通が敗北し、神風連が勝利をおさめた、もう一つの日本である。

まあ、実際の日本も、モダンボーイ、モダンガール、大正デモクラシーの次が、鬼畜米英、神国日本、だったんで、どこの地域でも、どこの国でも、マクロに見れば歴史は同じような道を進む。

 

じゃあ、イスラム圏もお次は「大東亜戦争」となる流れであり、イラクのように一部ではほんとうにそうなった。

が、今度の「マッカーサーGHQ」は上手く行かず、平和日本のような平和イラクは流産した。

イランでは、なんとか対英米協調路線が、満州事変・北支事変・仏印進出=イラン核開発をセーブして、オバマハルノートを回避しようとしているわけだ。

 

ただし、満蒙は日本の生命線=核開発はイランの生命線、というイラン保守派は健在だし、

アメリカにも、もう一度ハルノートを出し直せ、ポツダム宣言へ追い込め、という共和党が国を半分握ってる。

昭和初期の日本と違って、スンニ派イスラエルという余計な要素まである。

 

仮に大東亜戦争を回避しても、問題が全てクリアになるわけではない。

トルコにとってのクルド人は、まさに朝鮮半島であり満州である。トルコは大東亜戦争を回避した大日本帝国だ。破滅は避けたが、残った問題はなんら解決しないままだ。

 

イランを巡っては日本だって意見が割れている、というか、日本が多数はオバマに同意してるが、産経新聞が内部で意見対立してる。しかも、その意見対立に無自覚だ。

 

もちろん産経だって、経済的には、日本の多数と同じ、イラン歓迎である。

石油を考えれば、どう見ても日本の国益だ。

 

政府、対イラン制裁を解除へ 中東最大級油田の開発も視野に (1/2ページ) - 産経ニュース

 政府が、欧米など6カ国とイランによる核協議の最終合意を受け、対イランの経済制裁を解除する方針を固めたことが25日、分かった。イランの核開発を監視する枠組みづくりや核不拡散体制の維持を目指す各国と連携する。イランは日本の原油調達先として有望な地域で、経済制裁の解除に合わせ、日本企業による石油開発プロジェクトへの参加などが期待される。

 一方、日本とイランは伝統的に友好関係にある。昭和48年度には日本の原油輸入量の約3割を占めた。イラン革命で、日本の同盟国である米国とイランの関係が悪化した後も主要な原油調達先の1つだった。

 中東最大級の埋蔵量を誇るイラン南西部のアザデガン油田では、現在の国際石油開発帝石(INPEX)が平成16年に75%の権益を取得。エネルギー安全保障上、重要な“日の丸(自主開発)油田”として話題となった。だが、米国の対イラン制裁のあおりを受け、22年にすべての権益を放棄した経緯がある。

 

しかし、産経には、アメリカ贔屓ではなく、妙にアメリカ共和党贔屓、アメリカ民主党(あ、日本の民主党もか)嫌い、の伝統がある。

嫌いな民主党オバマがやって、共和党が反対してるイラン核合意には、素直に賛成できない。

 

【正論】イラン核合意は「歴史的成果」か 杏林大学名誉教授・田久保忠衛(1/4ページ) - 産経ニュース

 「歴史的合意」とは1979年のイラン革命と米大使館人質事件以来初めて、両者間にそれぞれ腹に一物あっての合意をしたという事実の形容であって「歴史的成功」どころか、イスラエルのネタニヤフ首相の言う「歴史的失敗」という短い一言がより正確な表現かもしれない。

 米英の新聞の中でとくに関心を引かれたのはウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙で「テヘランの核勝利」「アラブ諸国はいま何を考えているか」の2本立て社説を掲げ、自由な新聞らしく思いのたけを述べた。

 イスラエルスンニ派の指導的立場にあるサウジアラビアなど、従来イランを天敵とみなしてきた国々はオバマ政権を「裏切り」と見てきたことは間違いない。

 だから、今回の合意は地域の安定を一層危険にする。米国は今後この地域から引いていくのではないか。経済制裁措置が緩和されるにつれて、すでにシーア派イランを頂点に形成されたシリア、レバノン武装勢力ヒズボラ、イエメンのフーシ派は活動を活発化させる。15年後のイラン核武装を前提にして、すでにサウジは2030年までに原子炉16基の建設計画を進めている。 

 

産経正論の常連で、親米派(正確には、親・共和党)の田久保忠衛は、2015年の中東情勢で、内戦や過激派やテロリストの話をしてるのに、ヒズボラだのフーシ派だの、マイナーなシーア派だけを目の敵にして、最大の脅威・スンニ派イスラム国ISISの話はカケラも出さない。

なぜなら、ISISの話を出せば、イラン核合意を評価することになってしまうからだ。自分の主張に不都合な要素はダンマリである。

 

【米大統領選】イラン核協議が争点に浮上 共和候補「最悪の失敗」と批判、評価のクリントン氏「大統領になれば確実順守」(1/2ページ) - 産経ニュース

来年の米大統領選の主要候補者は14日、イラン核協議が最終合意に達したことを一斉に取り上げ、選挙戦の争点に浮上した。民主党ヒラリー・クリントン国務長官が合意を評価したのに対し、ジェブ・ブッシュフロリダ州知事をはじめとする共和党の候補者は批判の論陣を張り、見解は真っ二つに分かれた。

 

イラン最終合意で米議会が審議入り 閣僚、野党が応酬激しく - 産経ニュース

 ケリー氏は公聴会核兵器開発につながるウラン濃縮活動を最大15年にわたり制限するなどの合意の成果を強調し、「イランが完全に降伏するような『よりよい合意』があるというのは幻想だ」と述べた。また、野党側を「あなた方の計画は(イランと)戦争を始めることか」と挑発した。

 共和党側は、コーカー上院外交委員長が、最終合意によってイランに核兵器獲得の道を準備したと指摘。制裁解除を定めたことで「(イランに)カネを巻き上げられている」と批判。次期大統領選に出馬したルビオ上院議員は、「オバマ米大統領が退任する日に合意は消え去る」と述べた。

 

共和党は、議会も、大統領候補も、イラン核合反対だ。

たとえ穏健派のジェフ・ブッシュが当選しても、イランとキューバはもう一度もめるだろう。

 

【イラン核合意】最高指導者ハメネイ師は反米堅持「どんな話し合いできるというのか」 - 産経ニュース

 イランでは国民の多くが合意を歓迎しているが、一部の強硬保守派から合意内容への批判が出始めている。同師には国内世論のバランスを取る狙いもありそうだ。

 

【イラン核合意】イラン、「外交的勝利」にわく ロウハニ政権への支持も拡大 (1/2ページ) - 産経ニュース

 また、イラン国営テレビは14日、合意発表を受けたオバマ米大統領の演説を中継した。米国を敵としてきたイランでは極めて異例であり、対米関係改善への意欲の強さをうかがわせる。

 こうした中で、一連の協議に懐疑的な態度をとってきた強硬保守派も露骨な批判は控えざるを得ない状況だ。AP通信によると、保守派系紙ケイハンは15日、合意内容に関する解釈にロウハニ師とオバマ氏で食い違いがあるとの懸念を伝えるなどにとどめた。

 

イランも、選挙で選ばれた大統領は穏健派でも、政府の外部にあって、政府より上位の軍部と最高指導者は鬼畜米英だ。まるで昭和初期の日本そのまんまである(笑)。

 

【イラン核協議】イスラエル、核合意に反対 「歴史的な間違い」と批判 - 産経ニュース

 欧米など6カ国とイランによる核協議の最終合意について、イスラエルのネタニヤフ首相は14日、「歴史的な間違いだ」などと即座に批判した。

 

そして、アメリカ政治のジョーカー・イスラエルも不穏である。

 

アメリカとイスラムの間に戦う理由なんて、もともと何にも無い~イギリス、ナチス、イスラエルの後始末。 - 在日琉球人の王政復古日記