基本の基本として、
領土とは、どこにあろうが、この「政治数学」の方程式で決まる。
（その場所が欲しいという）欲望＝意思
Ｘ
（奪い取り維持する）能力＝暴力
領土は、この「掛け算の積」が最も大きい国家のモノである。
だから「歴史的経緯」だの「古文書」だの、そんなもんは何の意味もない。
「中立条約」だの「不可侵条約」だの、ハナクソ同然である。
歴史上、この法則から外れた領土はただのヒトカケラもない。
いわゆる「日本の北方領土」も、いわゆる「竹島／独島」も、この鉄則から何も外れていない。
北方領土は、現時点で、ロシアの「意思ｘ暴力」のほうが、日本の「意思ｘ暴力」より大きいから、ロシア領なのである。
もしも、日本の皆さんが、札幌や東京が焼け野原になろうが、日本国民が何百万人死のうが、絶対に北方領土を取る！という覚悟を持てば、ロシアがそこまでは付き合いきれないと白旗を揚げれば、北方領土は日本領になる。
竹島／独島も、簡単に言えば、
何人の日本人が竹島のために死ねるか？
何人の韓国人が独島のために死ねるか？
で決まる。
竹島／独島は、現時点で、韓国の「意思ｘ暴力」のほうが、日本の「意思ｘ暴力」より大きいから、韓国領なのである。
ただそれだけの話である。
さらに、「北方領土ゲーム」は、なにも日本とロシアだけ限定参戦と決まったわけではない。全世界の国々にオープンである。
たとえば南米ジャマイカが、たとえば北欧デンマークが、たとえばアフリカのジンバブエが、何かの拍子に「極東の４島が欲しい」と思ったとする。
そして、これらの国が、日本やロシアを叩き潰すだけの戦力を極東まで持ってくれば、北方領土はジャマイカ領であり、デンマーク領であり、ジンバブエ領になる。
幸か不幸か、現時点の、ジャマイカ、デンマーク、ジンバブエが、そんな意思も暴力も持っていない、つまり「意思ｘ０＝０」または「０ｘ暴力＝０」というだけの話である。
それでも「歴史的経緯」だなんだというのならば、わが琉球が、そして奄美も、日本領であることは明らかにおかしい(笑)。
神代から江戸時代まで、琉球王朝は天皇陛下から官位を戴いた事が一度もない。つまりは天皇の臣下になった事が一度もない琉球御主が治めていた琉球が、なんで日本領になっているのか？
そもそも、古事記の国産み神話に、琉球の名も奄美の名も全く載ってない。
イザナギ＆イザナミ御二柱は「琉球」を産んでない。古事記こそ琉球独立の根拠である。 - 在日琉球人の王政復古日記
それは、琉球独立の「意思ｘ暴力」より、日本国家の「意思ｘ暴力」のほうが大きいから、以外に理由はない。
歴史的経緯でいうのならば、北方領土は、たとえば本州と同じくらい、日本民族固有の領土だ！言い切れるのか？
本州は千数百年にわたる日本人の居住・統治の実績がある。日本建国前の日本人の祖先の居住実績も含めれば数千年を超える。
対して、北方領土における日本民族の居住・統治の実績はどれくらいあるというのか？ ロシアに比較して格段に勝ると言い切れるのか？
北海道も同じだ。松前藩が統治していた南端地域以外、歴史的に日本人の土地と言い切れるか？ アイヌよりも正統性があるのか？ アイヌは日本人なのか？
もしもジャガイモ、トウモロコシがベーリング海峡を渡っていたら？～コメ・シャモＶＳイモ・アイヌの日本列島争奪戦。 - 在日琉球人の王政復古日記
日本は同時に、台湾、朝鮮半島、南樺太、北千島も失っている。
で、日本は北方領土返還を主張するわけだが、なぜ、台湾返還、朝鮮半島返還、南樺太返還、北千島返還は訴えないのか？
同じ時期に、同じ理由で、失った領土なのに、ナニが違うのか？
戦勝によって獲得した領土は、敗戦によって失われる。
日清戦争勝利で獲得した台湾や、日露戦争勝利で獲得した南樺太を、大東亜戦争敗戦で失うのはある程度しょうがないかもしれない。
しかし北方領土は戦争で獲得した領土ではない。つまり侵略した土地ではない。よって日本固有の領土だ、という理屈は判らんではない。
しかし、ならば、なぜ、日本は朝鮮を手放したのか？
朝鮮は戦争で獲得した領土だったのだろうか？日本は朝鮮を侵略したのか？
朝鮮人はそう主張するし、日本の左翼もそう主張する。
しかし日本の保守派は「日韓併合は両国合意であり、侵略ではない」と主張しているはずである。ならな朝鮮半島は北方領土と同じ立場であるはずだ。
日本は朝鮮半島を戦争で獲得したわけではない、侵略で獲得したわけではない。ならば朝鮮半島も、北方領土同様、日本固有の領土ではないのか？
日本は、北方領土返還と同時に、朝鮮半島返還も訴えるべきではないのか？
歴史的経緯、歴史的正統性を持ち出すのならば、そうでなければおかしい。
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さらに、日本政府は首尾一貫して、北方領土４島返還を求めていたわけではない。
戦後１９５０年代、日本政府は、択捉、国後の２つは諦め、色丹、歯舞の２つで手を打とうとしていた時期がある。もしそのままで交渉がまとまっていれば、日本とソ連＝ロシアの領土問題は５０年以上前に「解決」していたのだ。
それを御破算にしたのは、日本の保守勢力もあるが、何よりも【アメリカの圧力】であった。アメリカこそが「２島返還で妥協」を許さなかった。日ソ間に友好関係を結ばせないためである。
だから、日本がアメリカに逆らって北方２島で手を打っていれば、その報復として、琉球はいまだにアメリカ軍政下であった可能性もある。
もちろん、当時の世界情勢、特にソ連という国家体制の「根源的悪」を考えれば、ソ連と妥協しなかったことが間違いとはいわないが、日本が首尾一貫４島返還を求めてきたというのはかなりマユツバなのだ。
ロシアは今も昔も色丹・歯舞の２つで手を打とうとしている。ロシアから見れば、アメリカに言いなりに条件を変えてしまったのは日本のほうなのだ。だからロシアはイラだっているのである。
もう一つ言えば、日本は「本当に」「ホンキで」北方領土を取り戻したいのか？
取り戻せるチャンスはあったのだ。言うまでもなくソ連崩壊の時である。
ゴルバチョフからエリツィンの時代、ロシアはバルト３国もウクライナもカザフスタンも失った。
バルト３国に比べれば、東の果ての北方領土なんてハナクソみたいなもんだった。
あの時、日本が本気ならば、北方領土は「買い取れる」可能性があったはずだ。
それを「固有の領土を買い取るのはおかしい」とかなんとか、本気で取り戻したいとはとても思えないナマクラな態度で終始して、何もしないうちに、プーチンが登場、ロシアは危機を脱してしまった。
日本は１００年に１度の大チャンスを自業自得で失ったのである。
領土が欲しいなら「力」で奪い返すしかない。
平和的にやるなら「カネで買い取る」、強行するなら「戦争」である。
いつの時代の、どんな状況だろうが、それ以外に方法はない。
「ＯＯはＸＸ固有の領土」なんてもんは、この地球上に１坪もない。
「歴史的経緯」「古文書」なんてもんはほとんど何の意味もない。
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