ラ・ラ・ランド(2016)
日活・東京流れ者(1966)
「ラ・ラ・ランド」監督、渡哲也主演映画オマージュ - 映画 : 日刊スポーツ
2017年1月27日
デイミアン・チャゼル監督(32)は、質疑応答の中で、作品を作る上でオマージュにした過去の映画について聞かれた際、渡哲也(75)が主演し、鈴木清順監督(93)がメガホンを取った66年の映画「東京流れ者」を挙げた。
監督 言われてみれば、絵コンテの段階から入っていたかも知れないなぁと思うのは、鈴木清順さんの「トウキョウドリフターズ(東京流れ者)」。非常にワイドで撮っているところとか、ポップアートのような色合いとか、非常にミュージカル的なんですけども、銃が入っているミュージカル。もしかしたら多分、これが隠れたオマージュであり、少なくとも米国では誰も、この映画について言及していません。
をゐをゐ、アカデミー賞最有力の21世紀ミュージカル映画から、
まさか、昭和ニッポンの鈴木清順日活映画の名前が出てくるとは(笑)。
鈴木清順やりたい放題の極彩色アヴァンギャルド日活無国籍アクション。
渡哲也は、テレビの西部警察と松竹梅だけじゃない。
テレビじゃ刑事でも、日活映画じゃヤクザだったのだ(笑)。
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鈴木清順、その後もあまりに無茶苦茶やり過ぎて、一般庶民向けのフツーで平凡で頭を使わないアクション映画を求めた日活社長を怒らせて、首を斬られてしまった(笑)。
平成の皆さんに「日活」といってもピンと来ないと思うが、石原裕次郎や吉永小百合が活躍した、東宝・東映・松竹のライバル会社があったのだ。
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正直言えば、東映ボンクラ小僧の私としては「ラ・ラ・ランド」みたいなオシャレ映画は苦手(笑)。しかし、ライアン・ゴズリングといえば、この映画を思い出す。
私みたいなダサい野暮天でも、これくらいの傑作になると、さすがにそのスゴさは解る。
かつてBSで放送されたときのご紹介したことがある。
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その「クィーン」を押しのけて、今週イチオシなのが「ドライヴ」!
(松竹渥美清「男はつらいよ」+日活小林旭「渡り鳥」)×超絶なカッコ良さ。
、、、って説明が変かな(笑)?
なんと、私自身が、偶然にも、この映画を「日活」で説明しようとしていた。
「ラ・ラ・ランド」も日活。「ドライヴ」も日活。
つまり、両方の主演のライアン・ゴズリングは、半世紀も前の極東の島国で生まれた仇花・日活無国籍アクション・スピリットの持ち主なのではないか(笑)?
「ドライヴ」がなんで日活無国籍アクションなのか?といえば、
「ドライヴ」が西部劇の傑作「シェーン」をオマージュしていて、
日活無国籍アクション・小林旭の「渡り鳥」シリーズも、「シェーン」をパクっているからだ。
『正体不明の流れ者が、とある地方にやってきて、女を助けて、悪党どもを倒して、淡い慕情を残しながら去っていく』
双方、元ネタは同じなのである。まあ、よくある話であるが(笑)。
よくよく考えてみれば、あの大傑作「マッドマックス怒りのデス・ロード」も、
『正体不明の流れ者が、とある地方にやってきて、女を助けて、悪党どもを倒して、淡い慕情を残しながら去っていく』
ということで、まったく同じ話だ。
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そして「女を助けるために、車をぶっ飛ばして勝負する」という意味では、
「ドライヴ」も、「マッドマックス怒りのデス・ロード」も、東映・菅原文太「トラック野郎」と同じなのだ。
つまりライアン・ゴズリングは、アメリカの一番星桃次郎(菅原文太)であり、
「トラック野郎」は、早すぎた「東洋のマッドマックス」なのだ。
上の3つのうち、誰が、ライアン・ゴズリングで、どれが、トム・ハーディで、どっちが、菅原文太か?、あたなに見分けが付くだろうか?
あまりにソックリ過ぎて、あまりにカッコ良すぎて、見分けることが不可能だ。
さらに、日活「渡り鳥」シリーズは、松竹の国民的映画「男はつらいよ」シリーズに似ている。
その、松竹・渥美清「男はつらいよ」をパクったのが、東映・菅原文太「トラック野郎」シリーズである。
そして、地方を舞台にした男と女のラブゲーム、という意味では、「渡り鳥」も、「男はつらいよ」も、「トラック野郎」も、東宝・森繁久彌「社長」シリーズと、同じなのだ。
ただし、東宝、東映、松竹、それぞれ会社の持つ「政治思想(は?)」が異なるので、それぞれ味わいが変わってくる。
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東宝・森繁「社長」、東映・文太「トラック野郎」、松竹・渥美「寅さん」の、邦画3社のシリーズと、日活・アキラ「渡り鳥」は、よく似ているようで、違う。
日本各地を舞台にした、男と女の恋のさや当て、という意味では、4つのシリーズとも同じだが、「社長」「トラック野郎」「寅さん」と「渡り鳥」では、男女の立場がサカサマだ。
「社長」「トラック野郎」「寅さん」の場合は、主人公の森繁、文太、渥美の方から、マドンナに惚れる。そして最終的には、マドンナからフラれて、ラブゲームは失敗に終わる。主人公は三枚目だ。
「渡り鳥」の場合は、マドンナ(たいがいは浅丘ルリ子)の方から、アキラに惚れる。しかし、アキラもその気マンマンに見せながら(笑)、何にもしないで去っていく。アキラはどこまで行っても二枚目である。
主人公がマドンナにフラれるか?、マドンナが主人公にフラれるか?、ここに大きな違いがある。日活はエエカッコしいなのだ(笑)。そこで好き嫌いが別れる。
「ドライヴ」は、主人公の方から惚れるので、最初は「寅さん」型なんだが、全体の雰囲気と終わり方は「渡り鳥」型である。
というわけで、ライアン・ゴズリングの「ドライヴ」や「ラ・ラ・ランド」みたいなオシャレな洋画が好きな皆さんも、「東洋のライアン・ゴズリング(笑)」に出会える、日活無国籍アクションに一度チャレンジしてみてはいかがだろうか?
まずは
渡哲也「東京流れ者」
宍戸錠「殺しの烙印」
小林旭「ギターを持った渡り鳥」
あたりからでも。