「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」(公開年月日 1972年08月25日) 予告編
名脇役の川地民夫さん死去 「まむしの兄弟」で人気 - おくやみ : 日刊スポーツ
2018年2月12日
菅原文太さんとのコンビで人気になった「まむしの兄弟」シリーズで知られる俳優川地民夫（かわち・たみお）さん（本名・河地猛＝かわち・たけし）さんが１０日に脳梗塞のため亡くなっていたことが分かった。通夜は１５日、葬儀・告別式は１６日に営まれる。
川地さんは神奈川県逗子市生まれで、隣家に石原裕次郎さん一家が引っ越してきたことから裕次郎さんにかわいがられた。５８年公開の映画「陽のあたる坂道」で裕次郎さんの弟役でデビューし日活に入社。
青春もので活躍後、日活を退社し、「まむし－」シリーズや「仁義なき戦い」などに出演。数々の映画やドラマなどで、個性派の名脇役として活躍した。
川地民夫といえば「まむしの兄弟」。
というのは、いくら東映ボンクラ小僧の私としても、ちょっとなあ。
確かに「まむしの兄弟」は趣味的には私の直球ど真ん中ストライクではあるが、川地民夫はやっぱり「東映」じゃない。どこまでも「日活」の人なのだ。
東映の役者は、たとえ七三分けのヘアスタイルで高そうなスーツを着せても、詐欺師か総会屋にしか見えないが(笑)、 川地民夫は、たとえ、まむしのスジ彫りを背負って、ダボシャツを着てても、やっぱ、どこか上品だ。
菅原文太の舎弟分として東映ボンクラ映画で名前を売ったとしても、やはり血筋は石原裕次郎の日活青春映画の血統なのだ。
その東映にはいない上品な日活テイストの川地民夫が、東映流チンピラモードを着こなしてるから、「まむしの兄弟」は面白かったのだ。
もし菅原文太の舎弟役を、例えば川谷拓三みたいな東映プロパーにやらせたら、コテコテに当たり前すぎて面白くなかったと思う。
男同志（とは限らないが）のコンビが活躍する映画は「バディムービー」と呼ばれる。
そもそも、元祖はシャーロック・ホームズ＆ワトソン博士だろう。
アメリカのポリスアクションなんて、バディムービーだらけである。
だからアメリカ映画をいちいち挙げていけば切りがない。
日本にもバディムービーは多い。
「まむしの兄弟」も、正々堂々バディムービーである。
バディムービーの相棒同士が全く五分五分対等、ということはあまりない。
やはり、「主役」と「ワキ」に分かれる。
そして、「兄貴」と「舎弟」の上下関係になってることも多い。
さらに、漫才と同じで、感情的なトラブルメイカーの「ボケ」と、理性的なストッパー兼お助け役の「ツッコミ」と、役割分担になってるパターンが多い。
日本のバディムービーは、
「主役／ワキ」Ｘ「兄貴／舎弟」Ｘ「ボケ／ツッコミ」、
２Ｘ２Ｘ２＝計８パターンあるわけだ。
東映なら、
「まむしの兄弟」シリーズ
主役＆兄貴＆ボケ＝ゴロ政（菅原文太）。
ワキ＆舎弟＆ツッコミ＝不死身の勝（川地民夫）。
「トラック野郎」シリーズ
主役＆兄貴＆ボケ＝一番星桃次郎（菅原文太）。
ワキ＆舎弟＆ツッコミ＝やもめのジョナサン（愛川欽也）。
「緋牡丹博徒」シリーズ
主役＆舎弟＆ツッコミ＝緋牡丹お竜（藤純子）。
ワキ＆兄貴＆ボケ＝熊虎親分（若山富三郎）。
「昭和残侠伝」シリーズ
主役＆舎弟＆ボケ＝花田秀次郎（高倉健）。
ワキ＆兄貴＆ツッコミ＝風間重吉（池部良）。
大映なら、
「悪名」シリーズ
主役＆兄貴＆ボケ＝八尾の朝吉（勝新太郎）。
ワキ＆舎弟＆ツッコミ＝清次（田宮二郎）。
「兵隊やくざ」シリーズ
主役＆舎弟＆ボケ＝大宮貴三郎（勝新太郎）。
ワキ＆兄貴＆ツッコミ＝ 有田上等兵（田村高廣）。
「犬」シリーズ
主役＆舎弟＆ボケ＝鴨井大介（田宮二郎）。
ワキ＆兄貴＆ツッコミ＝ ショボクレ（天知茂）。
松竹なら、
「男はつらいよ」シリーズ
主役＆兄貴＆ボケ＝車寅次郎（渥美清）。
ワキ＆舎弟＆ツッコミ＝諏訪さくら（倍賞千恵子）。
東宝なら、
「若大将」シリーズ
主役＆兄貴＆ツッコミ＝若大将（加山雄三）。
ワキ＆舎弟＆ボケ＝青大将（田中邦衛）。
日活なら、
「渡り鳥」シリーズ
この二人はバディというよりライバルだろう。
こうみると、バディムービーが得意なのは、なにより大映、そして東映。
主役ワン・トップで、バディムービーがほとんどないのが日活、となりそうだ。
川地民夫はフィルムの中で生き続ける。なにしろ「不死身の勝」である。
合掌。
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