在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

貢がないオスはメスの「餌」 クモの世界の厳しい現実(その2)~プラトン「イデア」、アリストテレス「形相」。

だから、子孫は、親によく似ているが、全く同一ではない。

いや、「子孫を残す」理由は、環境の変化に合わせて、生物も変化するためだから、 全く同一では、わざわざ親を捨てて、子孫を作る意味がない。

 

1個の親から子供を作る単性生殖の方が、仕組みは簡単で、増殖は楽なのに、

わざわざ、オスとメスの2個の個体を出会わせ、遺伝子を出し合って、双方を混ぜて、親とは異なる子供を作る、ややこしいタイプの方が繁栄したのは、

そっちの方が環境の変化に対応する個体を作り出す可能性が上がって、「種」として生き残る確率が上がるからだ。

ただし、生き残るのは「種=全体」であって、個体は「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」方式で、環境に合わない個体は大量に死んでいく。

 

貢がないオスはメスの「餌」 クモの世界の厳しい現実(その1)~仏教「生老病死」、儒教「生命の連続性としての孝」。 - 在日琉球人の王政復古日記

の続き。

 

ここで「電報の論理」が登場する。

親から子へ遺伝子をコピーする際、「カネオクレタノム」や「海砂利水魚」のように、コピーミスが必ず起こる。 

 

ここで間違ってはならないのは、「丸写しのコピー」や「写し間違いのコピー」はあっても、「正しいコピー」だの「悪いコピー」なんていう価値基準はない。

 

このコピーミスは、善意でもなければ、悪意でもない。価値は中立だ。個々の子孫の生き残りには、不利にも働くし、有利にも働く。

親と同じように高温に強いことが正義でもなければ、親と異なり低温に強いことが悪でもない。 

親からの丸写しコピーが環境には不利なこともあれば、写し間違いコピーが環境にバッチリという偶然もありうる。
運悪く環境に合わないコピーミスだった子孫は滅び、たまたま運良く環境に合ったコピーミスの子孫は生き残る。

そして、ある時点の環境にピッタリだったことが、次の時代の不利になる。
飢餓に強い体質は、飽食状態に対応できないで糖尿病になって寿命を縮める。

 

つまり「正しい遺伝子」「悪い遺伝子」なんてもんはない。

 

生物全体にとっては、1個の生物個体よりも、情報である遺伝子の方が大事だ。

いや正確にいえば、遺伝子の具体的な情報も内容も変化してかまわない。

遺伝子という情報が大事なのではなく、遺伝子というシステム、形式、方式、ルールが最重要なのである。

 

天界にあって、われわれすべての被造物のオリジナル、コピー元であるという、プラトンの「イデア」、アリストテレスなら「質料」ではなく「形相」が重要ということになるか。

 

「形式」を守るためなら、遺伝子が変わってもイイし、個体なんて死んでいい。

いや、有限の環境を考えれば、邪魔になる古い個体は死んでもらわないと困る。

生命全体にとって、1個のムシが長生きするとか、1個の人間が幸せになる、なんてことはどうでもいい。
最終目標は「生物という、遺伝子という、形式の長期継続」である。

 

だから無駄になってもいい(事実、大半は無駄に死ぬ)から、とにかく可能な限り、さまざまなタイプの子孫を残せ。

子孫を残すまでは、子孫が独り立ちできるまでは、お前は生きていてもらわないと困る。

しかし、子孫を残して、子孫が生き延びるのならば、おまえはもう要らない。

子孫の、つまり、「形式」の邪魔にならない様に早く死んで欲しい。

 

生物全体(つまりは世界の意思、つまりは神)の欲望はその通りなのだが、それを文字通りそのまま、個々の生物には命令していない。
もちろん、全体をつなげて総合的に合理的に解読すれば、そういう命令なのだが、遺伝子は、バラバラの、省略された、解釈に幅がある「カネオクレタノム」式の電報で伝達されてしまう。


たとえば、生物全体の都合からいえば、人間のセックスは全部「危険日・中出し」でないと意味がない。
しかし人間個体への電報は「性器への刺激は気持ちイイ」という短文なのである。
となれば、人間個体の判断では、オナニーでも、フェラチオでも、ブッカケでも、中出しとなんら変わらないわけで、生物全体の目的からドンドン外れてしまう。

子孫を残して欲しいのなら、正直に「子孫を残せ」と電報すればいいのに、「チンチン気持ちイイ」などという、まわりくどい電報を打つから、間違ってしまうわけだ。 

 

クモやカマキリのメスが、セックスの後に(または最中に)オスを食い殺すのも、「生物全体のために、セックスしろ。妊娠しろ。妊娠したら子孫のために栄養補給しろ」という合理的な命令を、メスが「手っ取り早く目の前にいるオスを食え」と読み替えて実行しているわけだ。そして、観察している人間が、自分たちの性愛と比較して、勝手に意味付けする。 

 

生物全体つまり「神」から下された遺伝子という「聖書」は、人間にとっても、他の生物にとっても、短すぎて、解釈改憲(笑)しやすい電報なのだ。
ただし、さすがは全知全能の神様で、その生物個体側の読み間違いも、「どうせあいつら間違うだろうな」と予測しているようで(笑)、読み間違えし過ぎのダメパターンは生き残り能力もなく滅亡して消えていくし、同じ読み間違いでも、たまたま、ウッカリ、偶然にも、その環境にバッチリはまってしまい繁栄して遺伝子を継続してくれるパターンも、神の深遠なる計画の内なのである。


たとえばクモやカマキリにも遺伝子情報をコピーミスしたヤツがいて、交尾でメスがオスを食うのではなく、正反対に、射精で腹が減ったオスがメスを食ってしまうような命令を受け取った個体があったとしても、そいつの子孫は受精したメスが食い殺されるので、その子孫は後世に残らない。よって「オスがメスを食う」というコピーミスは継続しないわけだ。


生物の進化と絶滅、人間の愛と苦悩、すべては「解釈改憲」しやすい「神の短文電報」のせいである。
そもそも生物全体=神の伝えたかった「オマエはどうでもいいから、子孫も何匹ムダ死にしてもいいから、とにかく遺伝子継続を最優先に考えろ」という、個体にとっては無慈悲でかなり納得しにくいキツイ命令(笑)を、「愛」だの「孝」だの、自分勝手に都合よく、【わざと】誤解したのが、人間である。


愛は確かに神からの贈り物だし、孝は天が定めた人倫の基本であるが、神さまが天界がホントに言いたかった内容をわざと誤解した伝言ゲームでもある。

 

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